12月3日(水)。
午後の理科室。
4年生が・・・
理科の実験をしていたんです。
「ものの温度と体積」。
水の入った丸フラスコを・・・
丸型水そうに入ったお湯につけると・・・
ゴム栓から突き出たガラス管の中の水の位置がね・・・
上がるんだか下がるんだかって言っていたんです。
はじめに付けた目印から・・・
どうなふうになるんだろうって・・・
じいぃっと見つめるみんなの目が・・・
一点に集まっていて・・・
でもそれぞれが・・・
なにか一生けんめいに考えようとしていたんです。
私はね・・・
水そうに指をつけながら・・・
たずねてみたんです。
(そのとき みんな・・・
いやな予感がしてそうな顔で・・・
こっちを見ていたんです・・・)
「ねえねえ・・・これって・・・
いい湯かげんなんじゃない・・・?」って。
かえってきたんです。
「お風呂よりもだいぶ熱いです。」って。
「でも・・・
そういうことをやっていません。」って。
でね・・・たずねたんです。
「湯かげんじゃあないんだ・・・
なら・・・なにを見てんの・・・?」って。
(ほんとは 知ってるだろ・・・!)
やさしいみんなはね・・・
おしえてくれたんです。
「ガラス管の水が・・・ほら・・・
上がっていくんです。」って。
さらにたずねたんです。
「え!?・・・なんで なんで・・・?」って。
もう・・・
かえってこなかったんです・・・。
みんなでやりとりしていたんです。
「なんで上だと思う?」って。
「上がるんじゃなくって・・・
ふえてるんだよ きっと・・・」って。
「空気とおなじように・・・
体積がふえるんじゃない・・?」って。
「水って・・・ふくらむの・・・?」って。
「実験でわかったんだから・・・。」って。
(きみたち・・・
科学者みたいなこと言い合ってるんだぁ・・・)
そのあと・・・
やさしい男の子がね・・・
そっとおしえてくれたんです。
「校長先生・・・
水はあたためると体積がふえるんです。」って。
理科室の反対側のテーブルではね・・・
氷水で冷やして・・・
実験をしているグループがいてね・・・
聞こえてきたんです。
「へってる・・?」って。
「下がってる・・・?」って。
「水を足しとく・・・?」って。
(おいおい・・・足すな 足すな・・・)
目で見た現象と・・・
すでに獲得した知識を活用して・・・
ああだ こうだと言いながら・・・
新たな「知」を獲得しようとしていたんです。
" 4年生 理科で・・・
「知」が創造される・・・
その瞬間に出会った。 "というお話でした。
この時間の最後。
ひとりの男の子がつぶやいたんです。
「デジタルじゃない体温計って・・・
これとおなじしくみで・・・
できてるんじゃないか・・・?」って。
そのときね・・・
たくさんの子の目が・・・
きらっと光ったんです。
(きみら・・・なかなかやるじゃん)










